絵と詩 白鳥のお城

 

(オリジナルイラスト)

 

 

王様は山の上に巨大な白鳥のお城を建てた。

近い将来、この国が恐ろしい疫病に侵される夢を見たからだ。

けれども市民や大臣たちは、まったく興味を示さなかった。

「王様の道楽がまたはじまった」

そういってみんな馬鹿にしたように見物していた。

数年後、王様が予言したように国外から疫病が入ってきた。

市民たちは疫病で次々に倒れていった。

みんな感染を恐れてじっと家の中に閉じこもっていた。

ある日のこと、空から巨大な白鳥が現れて、ロープを家々に降ろして

次々に市民を助けていった。それは「ノアの箱舟」のようだった。

空を見上げながら市民たちは口々に叫んだ。

「あれは王様じゃないか」

白鳥の頭の窓に姿が見えたからだ。

こうしてたくさんの市民の命が救われた。

 

(水彩、色鉛筆画 縦25㎝×横18㎝)