絵と詩 小説 フランケンシュタイン2

 

(オリジナルイラスト)
 わたしはスコットランドの北の高地をさらに北上し、オークニー諸島のなかでも本土からいちばん遠い島を仕事場にしました。島には全部で三軒の、見るからにみすぼらしい小屋しかなく、そのうちの一軒が空いていましたから、そこを借りることにしました。
 ある日の夕方、実験室で座っていたときのことです。はっとして耳をそばだてたのは、海岸のすぐ近くで櫂が水をかく音がしたからです。小屋の近くに誰かが上陸しようとしているようでした。
 数分後、小屋の扉が軋みをあげました。誰かがそっと開けようとしているのです。まもなく廊下を歩いてくる足音がして、部屋のドアを開き、恐れていたとおり、あの悪魔が姿を現しました。
 (メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」より)
(ボールペン、水彩画 縦25㎝×横18㎝)