幻想小説 裏面 アルフレート・クビーン

 

                             

 ペルレは、不可抗力の眠り病に冒された。眠り病はアルヒーフで突然起こり、そこから町と国へ広がっていった。誰一人としてその伝染病にはさからえなかった。まだ活力があると自慢にしていた人も、知らぬ間にどこかで病原菌にとりつかれていた。眠り病の伝染的な性質は、すぐさま認識されたが、しかしどの医者にも治療手段が見つからなかった。家にいられる人はすべて、できるかぎり家にいて、街で疫病に襲われないようにした。たいていの場合、強い疲労感が最初の徴候だったが、そのあと患者は一種痙攣性のあくびに襲われた。眼に砂がはいったように思い、瞼が重くなり、考えごとがすべてもうろうとしてきて、そのときちょうど立っていた場所でそのままぐったり座り込んでしまった。

 小説の主人公は、ペルレの街が次第に崩壊していく有様を日々体験していくが、なぜ自分がこの夢の国へ招待されたのか、招待主のクラウス・パテラを探しながら憂鬱な毎日を送る。病身の妻は疲れ果ててある日息を引きとる。

(白水社 幻想小説 裏面 アルフレート・クビーン 第3部 第3章 地獄)

(ボールペン、水彩画 縦25㎝×横18㎝)