空飛ぶ小鳥屋

 

 コロナウイルスの影響で、売り上げが激減した小鳥屋の主人が、自作した飛行機を使って商売に出かけることにしました。

 近くの山から枯れ木と竹をたくさん集めてきて、ユニークな組み立て式の飛行機を作りました。

 動力は自転車のペダルを漕いでプロペラを回す仕組みですが、もう60歳を過ぎているのでそれでは体力がもちません。

 そこで思いついたのが、お店の小鳥を両方の翼に紐で結びつけて飛ばせることでした。

 これだったら、小鳥の力を利用して長い時間飛んでいられます。

 一か月後に飛行機が無事に完成しました。

 ある日さっそく組み立て式の飛行機を軽トラックに積んで山へ行きました、

 頂上へつくと、飛行機を組み立てて飛び立ちました。

 風も吹いていたので、気持ちよく離陸が出来ました。

 きれいな山並みを眺めながら、あちこちの町へ行きました。

 町の人たちは、みんな外出を控えて家の中に閉じこもっていたので、珍しい飛行機が飛んできたので窓を開けて見上げました。

 飛行機の両翼に色とりどりの小鳥がくくり付けてあります。

 見ているうちにみんな欲しくなってきました。

「おおーい、一羽くれないか」

「おれにも売ってくれ」

 小鳥屋の主人は高度を下げると、竹ざおを使って小鳥を各家の窓へ降ろしました。みんな小鳥を受け取ると、竹ざおにお金を差し込んで支払いました。

 これだったらコロナウイルスに感染しないので安心でした。

 そうやって野を越え、山を越えていろんな町へ飛んでいきました。

 商売は順調で夕方までにほとんど売れてしまいました。

 でも小鳥の数が減ってしまって、これ以上売ることは無理でした。お店に戻るまではずいぶん距離があるので、飛行機が墜落するかもしれません。

「また明日、商売に来よう」

 小鳥屋の主人は、小鳥がたくさん売れてすっかり重くなった飛行機のペダルを漕ぎながらお店に帰って行きました。

 

 

(オリジナルイラスト)

 

(未発表童話)